2012-01-14(土)

W県のK中学校での全校の生徒の皆さんへの語り 

はてなブックマーク - W県のK中学校での全校の生徒の皆さんへの語り - ★ maya-1のつぶやき ★  

 

3つの授業をさせていただくわけですが、全校生徒対象に30分の時間をいただきました。全文を読んだわけではありませんが、そのときの原稿です。


       今 回 の 学 習 は

 私が勤めていたI中学校の重点は、「みんなが分かり合うことをあきらめない授業づくり」というものでした。そのI中学校で行ってきた考え方で1年生の英語、2年生の数学、3年生の国語の学習を進めていきます。

 その考え方とは、クラス全員が「できるようになった」、「分かるようになった」「自分の考えがまとまった」などと実感できる授業をみんなで作り上げていくというものです。一人残らず、全員がです。私は、国語や数学などの教科学習もサッカーやバスケットボールと同じようにチームワークが何より大事だと考えています。それは仲間を信じて、「誰一人見捨てない」ということです。

  (体験を短時間)

 皆さんが授業をしていて困ることはないでしょうか。私の中学生の時はいっぱいありました。特に苦手な英語の時間は大変でした。まず、先生が何を言っているのかわからない。質問の意味が理解できない。説明が納得できない。英作文などどうしたら文章を作ることができるのか皆目見当がつかないのです。しかし、質問は気楽にできない。意見や答えを言わなければならないのだが自信がない。間違ったらどう思われるのか心配だ。これらはほんの一例です。

 さて、皆さんは質問したいことや分からないこと困ったことががあったときにどうしますか?勉強で分からないことができたとき、「分からないから誰かに聞きたいな」って思ったことはないですか。きっとありますよね。私の場合、分らないのをそのままにして、分ったような顔をして過ごしたり、授業の後質問しようと思ったけど結局そのままにしてしまったことがいつもでした。先生に聞くというやり方が一般的ですが、そのとき仲間に質問できたり、聞けたとしたらこの方が気楽だし、その場で解決できる可能性が高まります。第一、授業を受けさせられるというのでなく、自分から課題を解決しようとしているのだからこの方が質の高い学習が成立するはずだと考えています。

 

A:出された課題を,自分の力でできる友だちもいますが、自分の力だけではすぐにはできない人もいます。できない人は、先生に教えてもらいます。自分の番が回ってくるまで待ちます。先生は一人一人に丁寧に教えてくれます。一人3分位かけて教えます。問題を解く時 間は15分間です。5人の分からない友だちが教えてもらいました。でも、残り5人は時間 が足りなくて待ったままでした。そして答え合わせをするときに先生の答えを聞いて,それを写してその日の授業が終わりました。

 

B:できる人はできない人に知恵を絞って教えます。できない人はわかりやすく教えてくれそうな人に分かるようになるまで質問します。このようにして,みんなだんだんできるようになります。自分にはどうせやっても分かりっこない,できっこないと思っていた友だちも,みんなと一緒に勉強すれば,たいていのことは何とかなると思うようになってきています。分からないまま授業が終わってしまうということは少なくなりました。

 

 どうでしょうか?ABどっちの勉強のやり方がいいと思いますか?  

私は、ここにいる皆さんが、全員の力を合わせたら、きっと「分からない」や「どうしたらよいか」を解消し、課題の解決に近づけることができると思いますよ。先ほど述べた誰一人仲間を見捨てないということは、誰も見捨てない、自分も見捨てられないということに結びつきます。もちろん悲しい人を誰も出さない、自分も悲しい思いをしないためにも仲間を信じて、誰も見捨てないことをめざしたいと思います。言い方を変えると教科の学習でもチームワークを人間関係づくりを大事にしていきたいのです。

世の中で、全く一人で取り組まなければならないことは、「テスト」と「個人面接」位ではないでしょうか。チームを組んだり、グループで力を合わせて仕事をしていくことが大部分ではないでしょうか?ですから、特別活動や道徳の時間だけでなく、学校生活の大部分の時間を占める教科の時間でも、仲間を信じ、仲間と協力して物事を進めていくことの大切さを学んでいきたいと考えています。

 今回の授業は、クラスの仲間同士で問い合ったり、支え合って学習を進めていきたいと思います。

 「分からないこと」「困っていること」「納得できないこと」は仲間同士で、遠慮なく聞くことが大事になります。一番困るのは、分かったふりをされることです。分からないことを安心して聞くことのできるクラスでありたいと考えています。

 クラス全員が、一人残らず「分かる」「解決できる」「納得できる」ことが目標です。このクラスにはすばらしい仲間がいます。その仲間の力をかりれば、授業の課題は解決できるようになります。授業の最後の段階で、みんなが「ゴールに到達した」となればその授業は大成功です。

 みなさんならできると信じていますよ。

ところで、皆さんは何のために勉強するのか考えたことはありませんか?こんなこといったい何の役に立つのかと思ったことはきっとあるでしょう。

さまざまな課題を解決していくためにどう対処したらよいのかを学ぶためだと私は考えています。ですから自ら学んできたことを生かして問題を解決していけるかどうかが大事だと考えています。しかし知識はどんどん古くなっていてしまいます。そのときに必要な最新の知識を調べることのできる力が必要だと思っています。現在やこれからの社会のことを見通したとき、「学び続ける力」、「学び方を学ぶ力」を身につけることができるかどうかが問われるのではないでしょうか。

 知識の応用力と学び続ける姿勢を身につけ、古座や古座川の将来、和歌山、日本、世界が少しでも住みよくしていくための人材となってくれることを君たちに期待しているのです。

 

 授業を行う上で、いくつかの約束があります。

1つ目は、「学習するのは皆さんです」ということです。

 私ではありません。ですから、わからない言葉などあった場合、仲間に聞いたり、必要があれば辞書で確認したりしてもいいですよ。それでも分からない場合、私も皆さんと一緒に考えます。皆さん同士で解決できると信じていますので、皆さんの活動時間が少しでも多くなるように、私は、できるだけ話を短くしたいと考えています。

2つ目は、学習の仕方は君たちが自分で決めてください。

 課題(ゴール)を達成するために一番よいと思うやり方、方法を探してください。遠慮なく友達と相談してください。参観されているかたに質問したり、相談してもいいですよ。誰と相談したらよいのかも自分で決めてください。普段自分と仲良く接している人ばかりでない人と相談することも考えてください。なぜか分かりますか?どうしていいのか困っている仲間がいないかにも気を遣ってください。

3つ目は、誰も見捨てない、そのために一人残らず全員が課題(ゴール)を達成できることをめざそう。

 そして最後は、自分自身が納得できるように、いくら相談しても結構ですので、充実した時間にしていきましょう。

 そのためにも、この考え方やこのやり方でよさそうか?なぜそうなるのか?この考え方・やり方で納得できるところにたどりつけそうか?ということを考えてください。自分ができることがまず大事で、置いてきぼりをくっている仲間がいないかにも心を配れたらステキですね。

そのために、もちろん席を離れて、仲間と相談してもいいですよ。それが課題を解決するために一番いい学習の仕方だと考えたらそうしてください。分からないこと、自分で自信が持てないことを、はっきりしないことをそのままにしておかないことが大事なことだと考えています。分かったふりはやめましょう。遠慮しないで、分からないこと、自信のないこと、はっきりしないことは聞いちゃおう。

写してもいいですよ。のぞき込んでもいいですよ。まねしてもいいですよ。その結果自分のものにできれば、自分で納得するために必要と考えるならばそれでもいいですよ。最後は自分で納得できるようなものにしていこうと心がけていきましょう。



        


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